50円と42800円の差
1. スペックと信頼性の比較
| 項目 | HX711 | ADS1232 |
| メーカー | Avia Semiconductor (中国) | Texas Instruments (米国) |
| 実効解像度 (ENOB) | 約18ビット程度 | 約23.5ビット(ノイズが圧倒的に少ない) |
| ノイズ性能 | 比較的大きい(数値がフラフラする) | 極めて低い(数値がピタッと止まる) |
| 温度ドリフト | 大きい(気温でゼロ点がズレる) | 極めて小さい(温度補償アンプ内蔵) |
| インターフェース | 独自シリアル (SPIに似た形式) | 独自シリアル + データ準備完了信号 |
| 価格 (チップ単体) | 数十円〜 | 四万円より |
2. 決定的な3つの違い
① ノイズフロアの低さ
HX711も24bitと謳っていますが、実際には内部ノイズが大きいため、下位の数ビットは常にランダムに動いています。一方、ADS1232はテキサス・インスツルメンツ社の精密アナログ技術が注ぎ込まれており、ノイズが極限まで抑えられています。
- HX711: 100g計測で、末尾が「100.05… 100.01… 100.08…」と乱暴
- ADS1232: 「100.00… 100.00… 100.01…」と安定
② 電圧基準(リファレンス)の設計
計量器の精度は、比較対象となる「基準電圧」がどれだけ安定しているかで決まります。
- HX711: 簡易的なレギュレータを内蔵していますが、精度はそこまで高くありません。
- ADS1232: 外部にREF3025などの高精度な電圧リファレンスICを接続することを前提とした設計になっており、システム全体の「基準」を極めて高く保つことができます。
③ 温度に対する強さ
基板に息を吹きかけただけで値が変わってしまうのがHX711。ADS1232は「チョッパー安定化」という技術を用いて、チップ自体の温度変化による誤差(オフセットドリフト)を自動的にキャンセルする仕組みを持っています。
3. なぜ「基準の高い基板」にはADS1232なのか
「4層基板での一点接地」や「電源分離」といったプロの設計は、ADS1232のポテンシャルを最大限に引き出すための舞台装置です。
HX711は、手軽に「重さが取れた!」という感動を味わうには良いですが、プロの現場で使われる「計測器」としての信頼性を求めるなら、ADS1232への移行は必須と言えます。


Comments