4層基板の世界へようこそ!一度その恩恵を知ってしまうと、もう2層基板(両面基板)には戻れなくなるほど、設計の自由度と安定性が跳ね上がりますよね。
最近では中国の製造メーカーの台頭により、かつては高嶺の花だった4層基板が「2層とほぼ変わらない納期と価格」で発注できるようになりました。まさに自作電子工作・プロトタイプ開発のゲームチェンジャーです。
4層基板がいかに「やばい」のか、その魅力を徹底解説します。
1. ノイズ対策(EMC/EMI)が「最強」な理由
2層基板では、信号線とGND(グランド)が同じ層で入り乱れるため、リターンパス(電流の帰り道)が遠回りになり、それがアンテナとなってノイズを撒き散らします。
4層基板では、内部の2層を「GNDプレーン」と「電源プレーン」として丸ごと使うのが鉄則です。
- 最短のリターンパス: 信号線のすぐ真下に広大なGND面があるため、磁界が相殺され、不要な放射ノイズを劇的に抑えられます。
- 電源の安定(デカップリング): 電源層とGND層が絶縁層を挟んで向かい合うことで、基板自体が巨大なコンデンサとして機能し、ハイスピードなICの動作を安定させます。
2. 「超高密度設計」を可能にする配線効率
最近のMCU(ESP32やRaspberry Pi Picoなど)や通信モジュールはピン数が増えており、2層だと配線がパズルのように複雑になります。
- 交差も余裕: 内層を「逃げ道」として使えるため、表面の配線をシンプルに保てます。
- ビア打ち放題: GNDプレーンがあれば、どこからでもビアを打つだけで最短接続が可能。配線長を極限まで短くできるため、高速通信(USB 2.0/3.0やDDRメモリ等)にも対応しやすくなります。
- 小型化: 配線密度が上がることで、基板サイズそのものを2層時の半分以下に凝縮することも夢ではありません。
3. 圧倒的な「コストパフォーマンス」
数年前まで、4層基板は2層の3〜5倍の価格が当たり前でした。しかし現在は状況が変わっています。
| 項目 | 2層基板 | 4層基板 |
| 価格差 | 基準 | +数ドル程度 (5cm角〜10cm角なら微差) |
| 設計時間 | 配線パズルに時間がかかる | スムーズに配線完了 |
| 試作回数 | ノイズ問題で作り直しが発生しやすい | 一発で安定動作する確率が高い |
| トータルコスト | 安いがリスクあり | 実は一番安上がり |
「設計者の時間(人件費)」と「動作の確実性」を考えれば、今や4層基板を選ばない理由がありません。
4. 4層基板の標準的な構成(スタックアップ)
もっとも一般的で、最強のパフォーマンスを発揮する層構成がこちらです。
- Top Layer: 信号線・主要部品
- Inner Layer 1: GNDプレーン(シールド兼リターンパス)
- Inner Layer 2: 電源プレーン(または信号線と電源の混合)
- Bottom Layer: 信号線・補助部品
このサンドイッチ構造により、外側からの外来ノイズに強く、内側からの不要輻射を抑える「最強の盾」が完成します。
まとめ:これからのスタンダードは4層
「2層で十分」と思っていたプロジェクトも、一度4層で設計してみてください。配線の美しさ、波形の綺麗さ、そして何より「動かない原因がノイズかも…」という不安から解放される快感は格別です。
今の時代、4層基板は「贅沢品」ではなく、「最短で高品質なデバイスを作るための必須装備」と言えるでしょう。


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